○山行地 矢代・名立川~不動山
○山行日 2015年10月04日
○メンバー L丸山 船山康 松矢 松木智
○報告者 丸山
何年も続いた南葉山基幹林道の通行止めをなんとかクリアし、不動山へ向かった。お世話になった関係機関の担当者にはお礼申し上げたい。
基幹林道から名立川へ続く工事用林道を少し進み、資材置場か残土捨場と思われる広場に車を止めた。久しぶりの不動は小雨があたり肌寒い。ヤブ騒ぎに備えて農作業用の重合羽に身をつつむ。
名立川の土管橋まで何ヵ所かで道路が決壊、土砂の流出があり、車の通行は不可能である。慣れ親しんだミズナラを見て回るが、キクイムシの被害で多くの木々が枯れ、根ごと倒れた姿が痛々しい。自然の摂理とはいえ数百年もの命が絶え、新しい芽がある程度育つにはいったいどれほどの時間が必要となるのだろう。
登山道の上にも何本かの倒木が覆いかぶさり通行のじゃまをしている。八月頃だろうか、道周辺の草木が刈られスッキリしているのに残念なことである。今年は山の木の実が豊作らしく、アケビ、ヤマブドウ、サルナシ、ブナの実などたっぷりと味わうことができた。
標高が低いだけに紅葉の盛りはまだ早く、美しい山肌に接することはできなかった。合羽着用とはいえ、濡れた体は立ち止まれば小さな震えが来るようであり、気温はかなり低い。登山道が二本に別れる平坦な休み場でビール、お酒を飲んでもちっとも美味しくない。芭蕉池へ向かう左の道は通行止めロープが張られ、手入れが施されていないようである。
ロープをくぐり、急坂を30分ほど登れば山道の左手東側に芭蕉池が現れる。急傾斜地の凹部に湧水が溜まったものらしく、水はわずかづつ東の端から名立川へ流れ出ている。 面積はおよそ1,000屬らいだろうか。池周辺に道はなく、登山道脇の高台から全体を望むことができる。池の北側にはミズナラの巨木が周辺のブナや雑木に隠れて群生していた。だが、ここもまたキクイムシの被害でナラはほぼ全滅状態である。
およそ20年ちかく、わたしだけが知るマイタケ場であったのに今は見る影もない。これまでわたしが採取した最大株15kgをはじめ、一年おきに2~3株発生していた木も倒れてしまった。2kg程度の流れ物が一株あっても、時機がおくれて採取できる状態ではなかった。ここだけで何回か山菜ザックが一杯になったことが懐かしく、寂しい思いでいっぱいだ。
巨木の崩壊跡地で簡単な昼食をとり、再び雨と露でビショビショのヤブに突入する。
登山道へ戻りさらに上部を歩いてみたものの、山道は荒れ果てており登山道分岐の休み場へ戻ることとした。道をはじめ人工物、自然物ともいつか壊れ消滅してゆく。人の思惑がいろいろあっても“自然”とはそんなものである。輪廻転生、いつの時代か再びこの山で楽しみを見出す人も出てくるだろう。
「頂上方面はどうするね?」
「この雨ではもう充分ですワ」
「もう下りましょう!」
ということでのんびり山道を下り、名立川から車に向かって登り返す。東飛山で待ち合わせをしているK氏との時間調整を考え、大毛無山北面に建つ横浜・坂本堤弁護士の慰霊碑を訪ねてもみた。最悪、凶悪だったオウム事件もいずれ人から忘れ去られてゆくのだろう。仕方のないことである。